指折り★Holiday
「お父さんは不器用な人だから。
2つのことが出来ないみたいね
仕事してるときは、
それしか見えないのよ」
くすくす笑いながら、
「ね?」とあたしに同意を求めてくる。
「必死で話す菜子を、
いつも嬉しそうに見てたわ。
まっすぐだから、あんた」
「それ言われた・・・・・」
「そう? でもね、菜子。
まっすぐっていいと思わない?」
涙をすすりながら、
首をかしげる。
だって、まっすぐでいいことって
見つかんないんだもん。
まっすぐ=単純なんだもん。
あたしの中では。
眉をひそめると、
お母さんはふっと笑って。
「人の心を変えられる。
言葉がまっすぐ、その人に届く」
「なかなか簡単に出来ないでしょ」
そう言って笑ったお母さん。
でも、あたしの涙腺は限界だった。