指折り★Holiday




「ちょ、ちょっと待ってよ。
あたしそんな・・・・・」



「うるせぇ。しゃべんな。
アンタの“偽者のセリフ”は聞きたくない」






“偽者のセリフ”





譲輝くんから飛び出たその言葉に、
胸が大きな音を立てた。



なにかが、潰されたような音。



あるきだした譲輝くんを、
止める気分にもなれなかった。



足が、地面に張り付いたみたいに動かなかった。




「男で・・・・・・」



不意に聞こえた声。


譲輝君のほうを見ると、
こっちが泣きたくなるような眼をしていた。






「男でキモくて悪かったな」






聞き覚えのあるフレーズ。






背を向ける譲輝くんを見ながら、
必死に記憶を手繰り寄せる。




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