My Sweet Sweet home
「ロン」
季節はすっかり雨季に入った。今夜も空はどんよりしていて分厚い雲が果てしなく広がっている。
まったく外出する気も失せる。この時期原田家の3兄弟は、れっきとした引きこもりと化す。
今日もあたしたち兄弟3人、プラス拓兄の親友、つまりあたしと修平の幼馴染でもあるだいすけと拓兄の部屋に引きこもっては麻雀大会を繰り広げていた。
「ツモ」
「姉貴、ちょっとは手加減しろよ!」
「もっとした方がよかった?」
「うわっ。むかつく。高校生相手に節操ねぇよな。」
「ゆか、もっと手加減してあげないとだめだぞー。俺なんか手抜きすぎてまだ1勝もしてないんだからな。」
とだいすけ。
「あのなー、お前らに麻雀教えてやったの誰だと思ってんの?俺だぞ。俺師匠。ちょっとは敬え。」
拓兄。
本日のあたしの賞金5千円也
雨の憂鬱にも負けずのほほんと過ごすあたしたち。
ただあたしは、雨とはまったく関係のないところで憂鬱状態にあった。
先週の拓兄の彼女との初対面がそもそもの原因。