My Sweet Sweet home

「俺そろそろ帰るわ。」




だいすけの言葉に先週への記憶の旅から、フッと我に帰る。





「おばちゃん。俺そろそろ帰るね。」





「あら?もう?泊っていってもいいのよ。」




うちの家族はだいすけがだいすき。ママは寂しそうに言った。




「いや。まだ課題残ってんだよね。それにこれ以上麻雀続けたら俺と拓海すっからかんになっちまうしな。」




「おいこら。」




「俺ら仲間内だけでやる時はお前めちゃくちゃ強えーのに、なぁんでゆかとやる時は弱いのかなー?」



意味ありげな言い方だった。




「バーカ。んなことねーよ。さっさと帰れ。」




拓兄は昔からなんでもあたしに勝たせてくれた。麻雀もきっとそうだったのね。だいすけの言わんとしてる事をすぐさま理解した。




拓兄の無言でぶっきらぼうな優しさに胸の奥がキュウってなる。





トランプでもオセロでもマリオパーティーでもなんでも、昔から拓兄はなんでもあたしに勝たせてくれる。本人自覚あるかないかはわかんないけど、たぶん昔からのくせなんだろうな。







あしたは学食でもおごってあげよう、なんて思った。







だいすけを見送りながらふと、雷鳴らないかしらと思い、空を見上げた。







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