My Sweet Sweet home
あたしは実父と、その愛人との間に生まれた望まれざる子どもだった。
父に捨てられたくない一心で愛からではなく、いわば父を繋ぎとめておく道具としてあたしを生んだ。
しかし実の妻にばれることを恐れた父は、あっさり母を捨てた。しばらくは実母に育てられたあたしだったけど、愛されたことは1度もなかった。
実父は唯一のつぐないとしてあたしを知人の家にたくした。
それが原田家だった。
当時拓兄の家では、自営業のための資金の援助をあたしの実父から受けていたため拓兄のパパは断ることが出来なかったのだ。
原田家のご主人、今のあたしのパパは人のよさも手伝ってあたしを連れてある夜帰った。
原田家の奥さん、今のあたしのママは人がよくおっとりしていて、資金援助を申し出てたあたしの実父に深く感謝もしていた。
それでもママが困惑しないはずもなくその日夫婦は大ゲンカだった。
まだ小さいあたしはなぜここにいるのか、この人たちは一体誰でなぜここに連れてこられたのか、まったくもって訳がわからず、ただ喧嘩の声をドアの向こう側に聞きながらグズグズ泣くことしか出来なかった。
「大丈夫だよ。」
ふいにあたしにポンっってする柔らかい手のひらの感触と優しい声がした。
見上げたあたしを優しく見つめていたのが、そうあたし現在大好きな大好きな拓にいだった。