My Sweet Sweet home
大学までの道のりあたしたちは、車内でいつもと変わらず他愛ない(くだらない)話をして過ごした。


大学に着き、降りようドアを開けた矢先、あたしは拓兄に腕を掴まれた。

「ゆか!」


そうしてそのまま助手席に引っ張り戻された。


「なに?」


「お前俺になんか隠してない?」


「別になんにも。」


「……ならいいけど。お前はなんか合ったら俺に頼っとけばいんだからな。」


「うん。でもほんとになんともない。」


すごく嬉しかった。


拓兄の頼もしい発言に一瞬気がゆるみ話してしまいたくなったけども、あたしは気を引き締めなおし、なんともない振りを続けた。


「…わかったよ。んー、じゃあ帰りも一緒に帰んぞ。」


「は?なんで?」


「なんとなく。」


「いいよ。拓兄午前で終わりじゃない。」


「いんだよ。部室で待ってっから。終わったら来いよ。飯でも食って帰ろう。」


あたしの頭にポンと手をおき、今度は拓兄があたしに有無を言わさず車から降りて行った。


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