野球部彼氏。
でっかい手やな―。


なんて思う。
手を離さないで欲しいと、
本気で思った。
すると、シロは立ち上がって、
イスを丁寧に戻しだした。


「先輩に見つかったら
やいこいから、
学校出よか」


そう言うと、
自分の鞄とあたしの鞄を持って、
廊下に飛び出した。
そのしぐさが、やけにぎこちない。


「ちょ、待ってや」


シロは下に降りる階段で、
待っていた。
不思議そうにあたしが見つめると、
シロは顔を伏せる。


「悪い。瀬奈が...」


それだけ言うと、


「とりあえず、出よ!」


と言って階段を降りた。
その後ろ姿を見て、
なんとなくわかった。


もしかして、
照れてくれてるん?
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