野球部彼氏。
5月に入った。
下旬にある、体育祭の練習が始まっていた。


6時間目のホームルームは、
体育祭の選手決め。
あたしは運動オンチだから、
リレー系はパス。
真亜も同じだった。


「じゃあ瀬奈と真亜ちゃんは玉入れでええ?」


バレー部で体育委員の稟ちゃんが、
紙に名前を書いていく。
ショートヘアで背が高い。
いわゆる女前ってやつ。


男子は男子で野球部の体育委員が、
どんどん選手を決めていく。


「野球部は係あるから、
出る種目は2つまでやで!」


担任の浜野先生が言うと、
坊主達からのブーイングが、
飛び交った。


「俺、絶対クラス対抗出てシロに勝ったるし!」


田辺くんがにやにやしながら、
強引に紙に名前を書いた。
と同時に終了のチャイムが鳴り響く。


「田辺!おまえクラス対決なったんやろな〜」


チャイムが鳴り終わる前に、
他クラスの野球部達が、
3組を覗きに来た。
田辺くんに声をかけたのは、
城川祐輔だった。


「シロがやる言うてたから
なったったわいや」


田辺くんと城川祐輔は、
微笑を浮かべながら、
睨みあっていた。


この時初めて知ったこと。
城川祐輔はシロと呼ばれてて、
あたしの飼い犬の名前は、シロ。





たんなる偶然が、なんだか嬉しかった―。
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