独り言2<その後のある日>
今日も、取り立てて忙しいと言える様な仕事はない。でも、なんやかんやと雑用が多くバタバタはしている。

仕事は嫌いではないし、要領が悪いわけでもないから、割とテキパキとこなしていると思っている。それどころか、下手なオヤジよりも遥かに効率のイイ仕事をしてるつもりだ。はっきり言ってそう思っている。収入は格段に違うのが、正直許せなくなる時がある。

だからといって、反乱したところでどうなるわけでもない。そんなことも重々承知している。

ただ、時々‥「このままでは絶対イヤだ!」と無性に思うときがある。

でも、その先は続かない。

そんな事を考えながらパソコンに向かっていた。営業マンから頼まれた契約書を作っている。これだって、要旨を口頭と汚いメモ書きで渡されたものを真奈美がきちんとした契約書に仕上げているわけで、充分なスキルといえるのではないだろうか‥?

今まで余りそんなことは考えたことはなかったのだが、あまりにも基本的な事がわかっていない社員に最近イライラさせられることが増えたからである。

これも新聞ネタだが、「日本語が通じない」というタイトルの記事が出ていて、学校や職場で教師や上司の言う意味がわからなかったり、違う意味で受け取ったりする若者が増えているというのだ。実際、読んでいて真奈美にも思い当たるふしがあった。

不思議なのだが、あまりに日常的な事というのは意外に自分自身の力だけでは気付かない。真奈美は今更ながらそう感じたのだった。

やはり、「新聞」を読み始めたことは正解だった♪と密かに思う真奈美である。

でも、やはり「反乱」には至らず、黙々と契約書を作るだけだった。
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