独り言2<その後のある日>
「ほんとに結婚したいなら、協力するって言ってるでしょ?でも、そんな風に中途半端じゃ、無理よ。」

「随分、手厳しいわねぇ‥」

「実は、私も未だ独身の女友達が数人いるんだけど、紹介すると大抵、男性の方はOKなのに、『なんかピンとこないのよネェ。』だの、『もう少し、ピリッとした男性が‥』なんて話になるわけ‥私から見れば年収もそこそこ、性格も温厚、見た目は普通、文句なしなのによ!大体、今更Mr.Perfectなんて残ってるわけないじゃない!でも‥ダメなのよ。」

いつになく、感情的な京子に圧倒され少し驚きながら真奈美は答えた。

「私は別にMr.Perfectなんて望んでないわよ。」

「最初はそう言いながら、会うとそう言うのよ!」

怒りは収まらない様子である。よくよく話を聞いてみると、京子はこの夏休みに楽しみにしていた旅行もそこそこに女友達のお見合い行脚に付き合わされ散々な目にあったらしいのだ。

「でも‥ほんとに私は贅沢な事なんて言うつもりも、言えるような立場でもないことは重々承知してるわよぉ。」

「‥だといいんだけどねぇ。でも、いざ、会って見ると‥っていうパターンなのよ。」

「そうかなぁ。私は、その京子ちゃんのお友達みたいに立派な仕事なんか持って無いから、お嫁にもらってくれるっていうちゃんとした男性なら、大喜びだわよ。」

「真奈美ぃ~。あなたって人は‥。」

そう言うと、京子は我にかえったように優しい顔になった。真奈美としては、本心だった。別に今更どうこう言うつもりなど全く無いのである。

「だって、本当だもの。だから、誰かいれば紹介してって言ってるのよ。お願いよぉ。」

京子は、少し自分を恥じるように、そして、はっきりと言った。

「わかった。じゃあ、近いうちにセッティングするけど‥。ただ、悪いんだけど、これが、最初で最後だからね。」

「うん。もちろんよ。」

真奈美自身‥大した期待も持たず、わらをも掴む思いでただそう答えただけだった。
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