赤いベンチ
ー気持ちー

斉藤君に初めてメールをしたあの日から私達は毎日メールをしていた。
でも学校では私から話すことはあまりなかった。
ゆりと斉藤君が話してるのに私は紛れ込んでただけって事が多くて…。
私は斉藤君のあのオーラに入り込めない。
今日もいつものようにメールをしていると斉藤君がいきなり
≪今から電話していい?≫
と言ってきた。
私は一対一で斉藤君と話した事がないから戸惑った。
でも返事を返さないうちに斉藤君から電話がきた。
~♪
えぇ~どっどうしよう…出なきゃいけないよね…
「…もっもしもし?」
「おう。急にゴメンな」
「どうしたの?」
「今電車なんだけど停電で止まっちゃてて…」
私の家から学校は近いが、斉藤君は電車で通っている。
「っえ!?大丈夫なの!?」
「うーん。帰れるかわかんない…。」
「なにそれ!?死んじゃうの!?」
「何言ってんだよ。人を勝手に殺すな!!」
「じゃあ生きて帰って来てよ!!」
「あはは!!高杉って意外と天然なんだな!!じゃあ明日!!」
その日の電話はたった二分で終わったけど、斉藤君とまともに話せてなんだかちょっとうれしかった。
体の中ではドキドキがおさまらなくて…
なんだろこれ…。

次の日、私は斉藤君が来るか本気で心配だった。
息を切らして教室に向かうとそこには斉藤君がいた。
「よかったぁ~」
そこにゆかがやって来た。
「ちょっと万里ぃ~竜見すぎだよ~」
「わぁ!!ゆか!!びっくりしたぁ~もぉそんなんじゃないって!!」
「とか言っちゃってぇ~」
「もぅ!!」
何でかわからないけど一目見るとほっとする。
でも好きとかそういうわけじゃない。
この気持ちはなんだろう…。
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