愛の華




「悪い…。お前のほうが悲しいはずなのに…泣いちゃって…」


光は、腕で目をおもいっきりこすっていた。


親友がいなくなったんだもん…

悲しくない人なんていない。


「いいよべつに…。光のほうが辛いはずだから…」

「…………」


なんて言ってあげたらいいのか分からなかった。

"大丈夫"なんて言葉、私にはかけられない

かけた瞬間に、私が崩れ落ちそうだから――――…。


でも、こんな私に比べて三木さんは凄い

泣いてた私を、私の心を傷つけることなく励ましてくれた。


言葉に言い表せないぐらい、嬉しかった―――――。


「それに私ね、信じられる人見つけたから――――」


私が全部言い終えた瞬間に、光の表情は暗くなった。


「…どんな奴?」

「…さっきの人。三木雄也さんっていうの…」


光は眉間にしわを寄せ、目を大きく見開いた

そして、キュッと唇を噛んでいる。


どうしたのかと思ったのもつかの間、光は私の両肩を掴んできた。

光の瞳はいつもと違い、なんだか怖い――――。


「あいつだけはやめろ…! あの男は――――」

「……え……?」








  "あの男は――――"





その続きは、決して言ってくれる様子ではなかった。

温厚で優しい光の表情は、不安や恐怖に満ち溢れている――――。

そして大きな優しい手は、少しだけ震えていた


「光…大丈夫…?」

「…と、とにかくあの男には近づかないほうがいい」

「どうして…? すごく優しくて…頼れる人だよ?」


光の言うことが納得出来ず、必死で三木さんの長所をあげる。

けれど…光は首を横に振るだけだった。





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