愛の華
「俺だって言いたくて言ってるわけじゃないんだよ…。
ただ、お前にこれ以上辛い思いしてほしくないんだ…」
「光…」
"辛い思い"ってどういう事――…?
三木さんは私に、辛い思いをさせるってことなのかな…。
分からない。もうわけが分からない。
光がどうしてこんなにも三木さんのことを拒むのか…
理由を言ってくれなければ納得出来ない。
「宏太と約束したんだよ…。お前を守るようにって。」
「………」
「だから…俺が命かけてでも守らなきゃならねーんだよ…!」
一生懸命に私のことを説得させようとする光は、どこか必死な気がする。
三木さんのことをよく理解している上で、そう言ってくれているのかもしれない。
…理解しているから、私と三木さんを近づかせたくない…そんな感じだろう。
だったら私にも、三木さんを理解する義務がある。
光の知っている三木さんと、私の知っている三木さんは違うかもしれない。
「ごめん、光…」
肩をつかむ光の手を、軽く振り払った。
心の中で、"ごめん"と何度もつぶやきながら―…。
「もし光の想像している三木さんが本当の三木さんだったら…
私はすぐに光の元に帰ってくるから…。」
「………」
「安心して?
宏太と光の約束、絶対にやぶらせないから…。」
宏太がいなくなった時以来、人前では見せなかった笑顔を…
私は今、光の前だけで見せた。