愛の華
2.出会い
夜道
春とは思えない寒さだった
20歳になり、初めて寂しい夜を過ごす―――…。
桃の花が散りそうな、そんな日だった。
「……宏太……」
ふっと漏らしたこの言葉は、最愛の人の名前だった
桃の花が咲く季節に出会い、そこから何年も経過していき―――…
そして、桃の花が散る季節に別れた。
すごく最近のことで、今でも覚えている
あなたと手を繋いだときの温もり
あなたに抱きしめてもらったときのやわらかさ
あなたから重ねた唇
すべて…すべて私の心の中に、思い出になって残っています―――…。