愛の華
もちろん、私の頭の中は混乱する。
抱き寄せられている肩が、異様に熱い気がする。
三木さんに視線を向けると…また、宏太がいるように見える錯覚を起こす。
「朱里…好きなんだ…」
私を抱き寄せていた腕は、ゆくゆくは私を抱きしめる腕に変わる。
…とても温かいと思った。
宏太に抱きしめられているような気がして…。
瞳を閉じれば…思い浮かぶのは宏太の姿。
そして次に思い浮かぶのは…あなたの笑顔――。
「宏…太…」
ふと、最愛のあなたの名前を呼ぶと…
思い出と共に、私とあなたが一緒に生きてきた"道"が頭に浮かぶ。
こんなふうに離れ離れになることなんて、あの頃の私の頭にはなかった。
ねえ宏太…あなたもそうだったでしょ―――?