愛の華




「ていうか…あんたさ、さっきからずっと泣いてるけど…」

「……………」

「やっぱり…その…彼氏のこと?」




  "あなたが宏太と似ているからです"



そんなこと言えない

言えるわけがない


見ず知らずの他人に、いきなり昔の彼氏と似ているだなんて――…

聞いた人は困るだろう

それに、逆に気を使われるかもしれない。


「…よかったら話してみなよ。…まあ、他人だけどさ…」

「…………」

「少しは心が楽になると思う…けど」


…話したら楽になるのかな―――…

かえって、誰かに言ったほうが自分自身にも良い方法なのかな―――…









――――春、桃の季節が散る季節に…


見つけました

信用出来る、大切な人―――……



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