放課後Kiss
放課後Kiss
サァ…っと、心地の良い風が吹く廊下の窓。
あたしは窓の縁に両腕をのせて。
…何も考えることもなく。
ただ、風に揺れる景色を眺めていた。
「…リーナ!」
――ドキッ…
「え…?あ……」
ニカッと白い歯を見せつつ、キュッと縮んだ頬で見られるエクボ。
綺麗な顔立ちに、クルリと巻いたロングの茶色い髪。
そんで持ってそんな可愛い笑顔を持つ、我が親友。
「…菜津実、どうしたの…?」
端瀬 菜津実(はせなつみ)。
学校で、一番の大親友。
…や、人生で。かな?
「…んー…どうした、って言うよりかは…。」
「?」
軽く眉を下げる菜津実。
「リナ、またボーッとしてるから。」
〈…ボーッとしてる〉
「…、」
今、一瞬だけアイツとリンクした声。
「…大丈夫だよ」
あたしは、多少作った笑顔でそう言った。
「…―――嘘」