放課後Kiss
受信フォルダは菜津実という文字の場所。
どうやらメールは菜津実から受信したもので。
一体どうしたのかと、メールを見る前に一度考えてみる。
…あ。
もしかしたら…、
さっき菜津実の話も聞かないで逃げたから。
…怒ってるのかも。
そう思いつつ、あたしは恐る恐るフォルダを開いた。
――――――――――
受信:菜津実
件名:Re:
本文:
リナ…
…さっき、ごめんね。
リナが嫌がってること
分かってて…。
…あ、言いたいことが
あるから…
教室で待ってます。
菜津実
――――――――――
「…教室?」
てか。
今、授業中なんじゃ…
そう思いながらあたしはスッと携帯に記されている時間を見た。
「…は?」
思わず目を疑った。
時刻は…、"16:38"を知らせていた。
午後4時…38分。
「…うそ…」
パッと顔を上げると、空には満面"オレンジ"に染まっていて。
目を刺激した夕日に、少し眉を顰めた。
「……やっ…ば…っ」
あたしはそう呟いて、屋上を急いで後にした。
『…成功?』
『……みたいだね』
屋上の階段の影。
そう言って微笑む二つの影。
『…あたし、リナには…幸せになってほしいから。』
そう言って、菜津実は隣の彼に優しく微笑んだ。