放課後Kiss
何も言わないあたしを不思議に思ったのか、蓮はあたしを呼んだ。
「…っ…」
肩に、触れられている。
そう思ったら、なぜか無性に込み上げてきた涙。
…決して…、悲しくなんてない。
多分、これは…。
「…てか。人のキスをタダ見して、そのまま逃げるんだ?」
「…な…っ、それは…っあんなとこでそんなのするから…っ」
てか、見てたの…バレてたんだ…。
…それに。
あたしだって、“あんなとこでそんなこと”…したって言うのにね…?
そう思いながら、そっと滲んだ涙をバレないように拭いて。
「…ごめん。…もう、邪魔しないから…」
グッと俯いて、あたしはポツリとそう言った。
「……何、ソレ」
はぁ…、と呆れたタメ息を頭上で感じて。
「…てか。少しぐらい素直になれば?」
―――ドキ…ッ
「なっ…何、が…っ」
どぎまぎと紡いだ言葉。
「…妬いたくせに」
本当、素直じゃない。
フッという笑みに混じったその言葉。
「…な…っ。だ、誰が…っ」
「…リナ」