放課後Kiss






『――梨奈!』


5日前、昼休み。


冷たい風。


あんま、好かないあの季節。


隠すものが枯れ果て、カラカラ…と落ちている木の茶色くなった葉っぱ。


いつもと変らない道。


あんな人の通らない道を通って、購買に向かう途中。


今、一番頭にへばりついている名前が、風に乗って耳に届いた。





『…リナ?』


聞こえたその声を、口の中でボソッと呟いて。


俺は、足を止めた。


目で横を見ると…


『…』


そんなに距離は離れていない。


少しだけ遠くの方で


あの女と、…その、彼氏。





俺はただ、立ち止まって。


ほんの軽くだけ目を細め、無表情でそんな2人を見つめた。




『…待った?』


『……んーん。…さっきついた所。』


小さくしか聞き取れないが、少しうつ向き気味で、梨奈はそう言った。


『…』


その瞬間、俺は男の目が少し変った気がした。


…なんとなく、気付いた。


男が、何を言おうとしているか。


[…別に。ただつまんないだけ。
…てか、もうお前飽きた]…と。


…そう言うときの自分の目に、なんとなく似てる気がした。


…似てる、のは何か不服なんだケド。




…その時、耳に届いた言葉。






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