放課後Kiss
「…、」
放課後の、誰もいない教室。
ただ…、そんな教室を夕日がいつも通り照らしている。
そんな教室の中をグルッと見渡すと、ふと蘇ってきた記憶。
[…ん…っ]
[……リナ、甘い]
…待ってたって、どうせ来やしねぇのに。
……てか。
そもそも何でこんなにもアイツにこだわってんだか。
「……」
ふぅ…、と。
タメ息になりきれてないタメ息を吐いて、窓の外の夕陽をただ眺めた。
―――ガラ…ッ
そんな時だった。
俺の耳に、ドアの音が響いたのは。
「…あーっ!! やぁーっぱり、ここにいた!!」
それと同時に、そんな声も耳に飛び込んでくる。
「……麻由美」
俺は、女の名前を呼んだ。
…正直、ドアの音がしたとき。
少なからずとも期待した自分がいた。
麻由美の姿を見たとき。
…少なからずとも、一瞬で気力が無くなった自分がいた。
「………何。どうかしたわけ」
今の俺には、冷たく当たるしかできない。
…それが嫌なら、もう今にでもすぐ出て行ってほしいくらいに。