放課後Kiss
―9日前―
『…別れよう』
突然訪れたその言葉。
『…、…ん』
あたしは、我が儘も言わずその言葉をただ受け取る。
『…悪いけど。イマイチ梨奈が何考えてるか分かんねぇ』
…その言葉は、もう聞き飽きたぐらい。
『…』
あたしは、そんなもうお決まりになっている捨て台詞を聞いてから男が去るのをいつも見送る。
…別に、好きじゃないから別れを告げられても引き止めない。
“好きだ”と言われたから、付き合う。
そして“何考えているのか分からない”と言われて、別れを告げられる。
…いつもその繰り返し。
『…はぁ』
何、考えてるか分からないって言われてもなぁ…。
あたしは壁に背をつけて、そのまま地面へとしゃがんだ。
…まず、あたしは“好き”の気持ちが分からない。
何を感じて“好き”だと言えるのか。
恋、なんて…分かんない。
…まぁ、まず知ろうともしないんだケド。
…ふぅ、とカタチにならないタメ息をついて、あたしは立ち上がった。
…その時。
『…何タメ息ついてんの?』