放課後Kiss











ゆっくりと、もう離さないようにきつく抱きしめて。



「……なぁ、リナ?」



「……え?」



「…妬いた?」



「―っ」





…できれば、せめて妬いてほしかった。


“妬いたよ”…と。


もしも、俺のこの自惚れが勘違いでないとしたら。



…その時は…。










「…泣き虫。」




ふと、リナの顔を見ると言葉よりも先にリナの目からは涙が出た。



フッと笑う、声は抑えきれない。




「…本当、素直じゃないよね?リナは。」



「違…っ」



まだ、拒否するリナに、愛しさは抑えきれない。



「…でも、まぁ…」



…決して、絶対。



何に変えても、離さないと…誓って。







「…俺は、そう言うリナに惹かれたんだろうな」








そう言うと、思いっきり見開かれた涙で濡れたリナの目。


そんな顔、絶対他では見せらんねぇな。


…多分、独占欲丸出し。




「――……え…?」



…だからさ?



「……これが最初で最後。
…二回も、同じこと言わせんなよ?」





そう言った言葉と共に、優しく重ねた、甘い唇。



…2人の甘いKissは、放課後に。




そっと離した唇からは…。








「……好きだよ」








…なんて、不器用な言葉。



“好き”だけじゃ終わんねぇけど…。


けど、これからいくらでも伝える時間があるのなら。



…いくらでも、いつでも。


願う限り、言ってやるよ。



フッと笑って、俺はリナにもう一度口付けた。













…そんな、



放課後にKiss。












<完>







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