信じたもの
「あ、ごめん。俺だわ。」
携帯を取り出す先輩。
あわてて電話に出る。
「悠だけど。…え?わかった。はあーい」
手短な通話が終わったようで、
先輩は携帯を閉じた。
「んじゃあ、俺の後輩って事で
名前、聞いてってもいいかい?」
「あ、柚子です。篠沢柚子」
「おっけ。柚子ちゃんね?」
そう確認すると、
目の前の信号が青くなる。
んじゃ、と軽く手を振る先輩。
無意識に振りかえした自らの手。
―――あ、あたしもこの信号渡らなきゃ。
ほんと、気持ちって謎だね