信じたもの
「……そうか」
なぜか寂しそうな声でそう言った。
その意味だって、全然わからない。
「おい、お前ら行くぞ」
「え?ちょ、悠は?」
「●×コンビニにいるって電話しとく」
そう携帯を取り出しながら言うと
一回も振り向かずにカフェからでていった。
柚子が来るとでも把握したんだろう。
―――あの顔。
私は見てしまった。
あの、寂しそうで悲しそうな表情を。
数十分後、柚子が入ってきた。
走ったのか、息が少し乱れている。
「奏ー、遅れてごめん!!実はね」
――良かった。会わなかったんだ…
「…奏??どうしたの…??」
「ううん、どうもないよ。お疲れ様」
心配そうな柚子に微笑み返す。
――――絶対に話せない。
―――――話したくない。
なにかが怖くて、
話せない。