信じたもの
「ねえねえ、持っていかないの??」
「うん、持って行かないの。」
4、5匹つかまえたセミが入っているカゴを開ける。
「なんで?」
「なんでって、パパとママが言ってたし」
「ふうーん」
特に、反論もなく
妹は地面に落ちたセミを見つめた。
「ななにちで死んじゃうの、可哀相だね」
寂しげな表情で、妹は言った。
どうしてそんな事言い出したのかも、
わからないが…
「天国にいけますように」
妹は、そう呟いて
手を合せた。