【短】僕とセンセイの秘密
「……ってことで、朝帰りをしましたっ!」

玄関に立っている両親ズに、家に入れてもらえない僕は、朝帰りの理由を述べた

父は腕を組んで、目を吊り上げている

母は、少し前に突き出した腹を擦りながら、悲しげな目をして立っている

僕の弟か、妹か…が母の腹の中にいる…てこの夫婦は一体、何人の子を産めば気がするのだろう?

三人姉弟で落ち着いてるかと思ったら、もう一人増えるなんて

16歳も離れた兄弟ができるなんて、不思議な気分だよ

「もっとわかるように言え」

「だから、空兄の代理に店に出て」

「それは俺も知ってる事実だ
その先を聞いている」

「まあ、いわゆる…」

「お持ち帰り」

父の声が低くなった

「そう、それ!」

「ツバサっ! お前はまだ16歳なんだぞ
いくら兄の代わりに店の手伝いをしてくれたと言っても…」

「ホストと同じようにやらなくていいって言いたいんでしょ?
でもお客の女性は、そんな裏事情を知らない
お客は大切なお金を出して、僕たちの『愛』をもらいに来ている
その『愛』に、差があってはならない
…それが父さんの言葉だけど?」

「あ…、まあ、そうだが」

目もとの小じわが寄って、父の目尻が下がった

「ツバサ、それくらいにしておけって
あの人、ツバサの想い人なんだよ
だから、他のホストには手を出されたくないわけ」

シャワーを浴び終わって、濡れた髪にタオルを乗っけたまま、浴室から出てきた空人兄が、横から口を挟んできた

「もとはと言えば、ソラが仕事を無断欠勤するからだろ」

「ああ…まあねえ
だってさ、彼女の中が一番じゃん?
出際前に、甘えられたら…我慢ができないっつうか」

空兄が苦笑する

早い話、ズル休みってわけだね

空兄にはよくあることだけど
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