君を何度も~俺様☆天然~
俺は梨子の手を壁に押し付け、
拳を振り上げた。



だがその拳は、
梨子の腹に行かずに
杏の手の中にくるまれる。


「離せ、杏。」

「ダメだよ、
女の子相手に
そんな事したら。」

「何が女だ。

女って言う
立場を利用してるだけだろ。」

「そうだとしても、
ここで問題を起こしたら
陸が学校に
いれなくなっちゃう………。」



「………チッ。」

ほんとはもう少し
ムカついてたが
桜ヶ丘にいられなくなるのは
嫌だから拳を下ろした。





「「「梨子っ!!」」」

すると右から
昔の同級生が来た。

と言っても
名前は忘れたが。

「ちょ……大野??」

「あんた、
梨子に何したの!?」



様々な言葉の集中砲火に
耐えきれず、
相手に梨子を渡す。

「……み……んな。」


ほら、すぐに泣く。
泣けば心配してくれるとでも
思ってんのかよ。

昔の同級生は梨子を
慰めながら俺を、
………杏を睨む。

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