君を何度も~俺様☆天然~
これが新田が伝えたかった
【暴走】なのか。




景色はさっきと
変わってない気がする。

ただよく見ると、
少しずつ感じてしまう。

















───血が、増えた。


あの生臭い匂いと、
見る気も失せる色が
なぜか増えている。

その理由はさっき、
自分の瞳できっちり見た。







「………離せっ!!!」
「よせ、朱音!!」


朱音が、
攻撃したからだろう。


「何考えてんだよ!!」
「離せ!!
コイツラは杏を……!!」
「だからって攻撃して
新田に心配かけて、
お前、それでもいいのかよ!!」


ビクッ!!


………やっと、
やっと朱音が動きを止めた。
どうやらようやく
事態の深刻さに気づいたらしい。


周りを見回す度に、
零れ落ちる涙。
そりゃそうだ。
こんだけの大量の血を流させたんだ。
自分にショックが響くのは確実だ。


そして視線が、
足に血を滲ませる新田に
向けられた時、
















フワッ……
「……ちょ……朱音??」
あの復讐に燃えた彼女は
スルリと崩れ去っていった。


確信は出来なかったが、
予想外ではなかったこの事。


俺はゆっくり朱音を下ろし、
ポケットの携帯に手をかけた。
















パシッ!!!
「………??」
「もう連絡しましたから、
かけなくていいですよ。」


かける必要性は、
すぐなくなったが。


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