君を何度も~俺様☆天然~
「……それでよく、
今まで生きてきたな。」

「みんな優しいからね。
春休みの間だけなら、
どうにか生きて暮らせるよ。」



一般人なら、
体感出来ない世界。

帰る場所。
暖かい家族。
安心な寝床。
満腹な食事。



それを味わうのが、
【実家】なのに。

俺の家族も最悪だが、
新田の家も味わいたくない。


「……だから、
青依が倒れた時
心臓が止まりそうだった。

だってあたしにとっと、
青依はかけがえのない
【家族】と一緒だから!!」


「………。」

「大野君には分かる??

いつもいた存在が、
急に目の前で
奪われるの。

当たり前が、
簡単に崩れていくの。

みんなが悲しむ。
みんなが心配する。

……もう嫌。
人が人を失って
人が悲しむ所は、
もう絶対
悲しみたくないの……。」



「………。」

どう答えればいいか、
全く解らない。



俺にとって、
家族は邪魔な存在だ。

参観日に行く度、
指をさされる。

家に呼ぶと、
不審がって怯える。




【お前のせいだよ、
お前のせいで
大野は壊れていく。】

………違う。

俺のせいじゃない。



家族に対して、
否定的な言葉しか出ないのが
俺と新田の共通点だ。

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