君を何度も~俺様☆天然~
「……みんな、
家族を邪魔みたいに
よく言うと思うよ。」


呆れたみたいな
ため息を吐き出す新田。

家族の大切さを知る、
家族の愚かさを知る、




同じ考えなのに、
涙する新田を
俺は慰められない。





【陸、
あなただけは
幸せにね。】

「……幸せに、
なりたいと思わないのか??」



「……アタシは……
幸せに……なる
資格がない……。」

消えかけの声なのに、
響き渡る空間。

今いる世界は、
たった俺達二人かもしれない。



「バカか。
人間は幸せになる義務が
あるんだよ。」

欲しいなら手に入れろ。
叶えたいなら努力しろ。


幸せを手にいたら、
同等の代価をもらう。


人間が昔から
義務付けられた
【暗黙の了解】。



「……俺がお前を、
幸せにしてやる。」



お前みたいな
人間を見てると、
こっちが辛い。


【こんなアタシから
生まれてきてありがとう。


でもごめんね。
辛い未来しか、
あなたに待ち受けて
ないのよね。】


決めつけられた涙が、
指先から伝う。

その涙が今、
背筋を凍らせる。



好きかどうかは、
まだ自分で解らない。

でもきっと俺は………






















新田を好きになる。

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