アイドル様の秘密☆
ティーン雑誌のモデルをやってる女、加藤梓(カトウアズサ)。
異常なほどに俺に付き纏う女。
「久しぶりだねー♪
仕事忙しかったのぉ??」
鼻をつく甘ったるい香水の匂い。
「…あぁ」
目を合わせず頷く俺。
「じゃあ明日は1日いれるのー??」
「午前中で帰る」
そう言い放つと耐えきれず席を立った。
……分かってる。
キャーキャー言ってくれる奴らがいるからこそ
俺らの仕事が成り立っているということくらい。
分かってるんだけど。
…どうしても受け入れられない。
あいつらが見ているのは俺の容姿。
『気に入られたい』
それだけの欲。
媚を売る仕草も
目も
声も
喋り方も。
全部……
全部、俺にとっては鉛なんだ。
嬉しいものではない。
単なる重りにしか過ぎない。
何なんだよ。
俺に何を求めてんだよ。