Tell a lie



「新人みたいなこと言うのね。

 あなた入社して結構経つんでしょ?

 しっかりなさい。

 大事なことはね、失望させないことよ?

 全て言われる前に、全て希望通りに。」

「そんなの「無理?」

「やってから言うのよ。やる前から出来るわけなんてないでしょ?」

「はい・・・。」

「エリス部長、しばらくもどって来なさそうね。

 戻ってきたら電話くれる?これ、私のデスクの内線番号。」

「はい。分かりました。」

「じゃ、頑張って、森永佳枝理さん。」

「はい!」




そう言うと、由利さんは去っていった。

後ろ姿までカッコいい。

立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花とは由利さんのことを言うのだろう。

それにしても私の名前どうして知ってるんだろう・・・。

ここの部門の人たちは何もかもを先に知っているの?

まさに、最先端、隙のない人たちだ・・・。











そのあとデスクに戻り、電話取りと資料まとめに取りかかった。

私は編集長の専属のアシスタントに配属されたので

そこまでだけれど、このオフィスはとにかく忙しい。


他のデスクでは引っ切り無しに電話が鳴るし、ファックスは出っぱなし。

その上、携帯電話にも電話はかかってくるようで、

皆口を閉じる暇がないといったようだ。


私のデスクには電話は少ないけれど、その分、重要な電話が多い。

資料も・・・、まだ把握しきれていないけれど、

エリス部長宛てに来た、有名ブランドからの資料やモデル所属事務所社長からの手紙が多いみたい。


私はとにかくキーボードを叩いて資料をまとめることにした。















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