Tell a lie
「ただいま。」
いつだって返事は帰ってこない。
まぁ、一人暮らしだしね。
新しいスーツがしわにならないよう、ハンガーにかける。
そして向かうのは窓辺。
気がつけば、空いた部屋を見るのは日課になっていた。
サァーーーーーーー
「あれ。」
カーテンを開けると、そこには先約がいた。
マンションの管理会社が雇ったのだろう。
部屋に2~3人の人がいて掃除をしていた。
ここに誰か引っ越してくるのだろうか。
私のマンションはそうでもないけれど、
実は隣のマンションは高級マンションで、
広いリビングはピカピカに磨かれていた。
その床に反射した、夕日が眩しい。
「もう、このカーテン開けられなくなるのかな。」
今日は散々だと思う。
半身浴でもするかな。
私はカーテンを閉めて、お風呂場に向かった。