Tell a lie




「ねぇ、近藤さんは私を利用してるの?」

「そんなわけないだろ?」


ワインを片手にソファーにもたれかかりながら喋るあなた。

その隣に座る私。

自然に腰にまわされてる手、

今の私にとってはそれさえも不自然に感じてしまう。


「他の子でも良かったじゃない?

 通販部門でやっと大事な仕事も任されるようになってきたし。

 もっとそこで働きたかった。」

「大事な仕事任せられるほど、信用してるからだよ。

 新しい編集長は大事な人なんだ。」

「でも・・・・やっぱり。」

「なぁ、もう仕事の話はやめろ。

 仕事の話するために呼んだんじゃない。

 最近急に佳枝理が綺麗になるから、俺の他に好きなやつでもできたかと思って不安だったんだ。

 俺のためにおしゃれしてるって信じていいのか?」


急に話をそらし始めたあなた。

でも、私には流れを戻す力なんてなくて。


「ファッション部門に移ったから、少しはおしゃれしなきゃと思って。」

「綺麗になった。ほっとけないくらい。」

「御世辞はやめてください。」

「好きな人に綺麗って言うのはお世辞なのか?」

「それは・・・」

「素直に喜べよ。そうゆうところも好きだけど。」



嫌味を言ったつもりなのに

結局流される。




そうやって、その夜も私はあなたに溺れた。









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