Tell a lie


最寄り駅まで徒歩5分

電車を乗り継いで駅から徒歩7分。


会社に入り、エレベーターに乗る。

いつもと同じように通勤するけど

今日は少しだけボタンが違う。

私が押したのは7ではなく、15。



もちろん7階より上に行ったことはない。

初めてこのオフィスの前に来た。



この会社に勤めて5年。

私は結構名の知れた雑誌編集社で働いている。



前は通販カタログ部門にいて既にお局様的存在になってしまっていたんだけど、

今回の異動でなぜかここに配属になった。



ガチャ、

ドアを開けて中に踏み込む。



初めが肝心。

初めが肝心。



「異動で今日からここで働くことになりました。

 森永 佳枝理(もりなが かえり)で「あなたそこ邪魔よ!」


「え、あ、すみませ「ちょっとこれ持っててもらえる?」

「あ、はい、「あー、ちょっとちょっと、それあっちのデスクだから!」

「え、あの、あっちって「だから、そこ邪魔だって!」

「あ、すみません、でもこれ「あーちょっとごめん。はい、もしもしー・・・・」

「あ、あのこれ「あっちよ!奥のほうの、私忙しいの。この資料、明日までに仕上げなきゃー・・・」

「あの、「ちょっとしずかに!・・・お電話ありがとうございますー・・・」

「すみま「あー、まだ持ってたの?それはあっちの奥の部屋よ!」

「ありがとうござ「だからあなた邪魔なんだって!」




な・・・何なのこの部門!?

どう考えても忙しすぎでしょ?


私、出社時刻の15以上前に着くように家出たはずなんだけど!?


とりあえず、私は渡された(無理やり持たされた)資料らしきものを持ってオフィスの奥にある部屋に向かった。

きっと、このオフィス長の部屋なんだろう。

良かった、挨拶もできるし丁度良かったかも。








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