【コメコン】参加作品~メディカル・パニック
「あの……おはようございます……課長……」
『おはようございますじゃねぇぇええ~っ!
今何時だと思ってんだぁぁ~っ!
お前、先週俺に何て言った!』
思わずケータイの音量を三つ下げる木村。
思えば、先週も寝坊で遅刻してしまった。
その時、課長の前で『もう二度と遅刻しません』と宣言した上での、この不始末である。
「いやっ!課長。今回はのっぴきならない用事がございまして!」
とっさに自己防衛本能が働いた木村は、課長に嘘をついた。
「実は課長…私、先週辺りから少し体調が思わしくありませんでして……今日は病院にて診断をしてもらおうと……」
『何?体調が…?』
課長のテンションが少しやわらいだ。
ここはこのまま一気に攻めるしかない。
「ええ!しかも、風邪とかそんな生易しいものでは無いんです!何というか、その…胸がズキズキと痛むような……私、心臓でも悪いんですかね?」
『それは大変だな……』
ケータイから聴こえるその課長の意外な言葉に、心の中で小さくガッツポーズを決める木村。
(チョロイぜ!丸山!)
「ええ、そんな訳ですから……」
しかし、喜んだのも束の間。
木村は丸山課長の次の言葉によって、奈落の底へと堕とされる羽目になるのだった。
『それじゃ木村君、今日は休んで良いから。
その代わり明日、病院の『診断書』を私の所に必ず提出するように!』
「し…診断…書…ですか……」
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