神人
「ありがとうございましたー」
店員の明るい声を聞きながら、バースは店を出た。手にはさきほど買ったブローチがある。
「今さら買っても遅いんだがな…」
渡すべき相手はもういない。これは気休めでしかない。
「墓にでも置いとくか…」
ブローチをズボンのポケットに押し込んだ時、突然悲鳴がバースの耳に届いた。
「!?」
悲鳴は駅の方向から聞こえる。
「クソッ!」
バースは舌打ちし、駅に向かって走った。
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