神人

城に戻ると、ヘウ"ンが退屈そうに椅子に座っていた。
そしてバースが入って来た事に気付く。
「おかえり。さっき駅の方で凄い音がしてたけど大丈夫？」
この部屋の窓からちょうど遠くの方に駅が見える。
「ああ、ただの雑魚の魔獣だよ。大丈夫だ」
「ならいいけど…。あ！バース！」
突然叫ばれバースはびっくりした。
「な、何だよ」
「腕怪我してる！」
ヘウ"ンが指差したのは、さきほど魔獣に噛まれた腕。それほど痛くないが、血が出ている。
「ああ、こんなん平気だよ」
すると、ヘウ"ンがバースの腕の袖をまくり怪我した部分にハンカチを巻き始めた。
バースは少し照れ、
「へ、平気だって！」
「駄目だよ！ばい菌が入ったら大変じゃない」
この時、バースは何故かダリアの事を思い出した。
彼女もよくバースが怪我をすると、こうして手当てしてくれた。まだ治癒の力が使えてなかったから。