神人
「じゃあオペラ頼むぞ」
夜十時、バースは城の裏で王と王女と一緒にいるオペラに言った。
オペラは獣型になり馬車に繋がれている。
「それでは行ってきます」
王が馬車の窓から顔を出し、言った。王女も王の向こうから口を開いた。
「バースさん。街をよろしくお願いします」
「ああ、あんた達が帰って来ても、街は今と変わってないよ」
「はい」
そしてオペラは走り出した。
オペラの後ろ姿が見えなくなるまで見て、バースは城の中に戻った。
街は静寂に包まれている。
気持ち悪いほど。
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