神人
「バース、王女様に教えてやれよ。お前が伝説の神人と呼ばれるようになった由来を」
男が卑しく笑う。
バースはしばらく黙ったままじっとして、ゆっくり静かにはっきりと口を開いた。
「お前の言う通り、私は自分の生徒を殺したよ」
「バース…」
悲しそうなバースの顔がとても苦しかった。
セイカで神書を探している時に教えてもらったバースの友人。その友人がもうこの世にいないと言った時の顔と同じ。
「私は、扉を閉める為に私の生徒を死なせてしまった」
もう何も言わないで。
「大切な生徒だった。でも、私は彼女を守れなかった」
やめて。
「扉よりも彼女を守ってやればよかった。けど、私が弱いばっかりに彼女の人生を終らせてしまった」
バース。
「彼女にはこれから辛くとも楽しい時間があったはずだ。神人になって沢山の人を助ける人生が…。けど私は…」
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