神人
「もういいです!」
それだけを吐き捨て、ヘウ"ンは野次馬を掻き分け犯人の元へ向かった。この事件を解決したらナスカさんに言って神人を変えてもらおう。
「その子を離しなさい!」
男に向かってビシッと指を差す。男は少年に銃口を向けたままうめく。少年はよほどビックリしてるのか、目を丸くしたまま微動だにしない。
「何だてめえ…」
「神子です」
すると男ははっ、と一笑し、
「神子ごときが口出すんじゃねえ!」
男は焦っている。早くあの銃を何とかしないと、あの少年が危ない。
ヘウ"ンは周囲を見回し、警察の腰に付けられていた警棒を手に取る。
「お借りします」
男に向き直り、
「言う事聞かないと痛い目に遭いますよ」
「やってみろよ」
多少警戒しながら男がうめく。ヘウ"ンは男の要望通り、警棒を長剣に神化させた。剣の扱いは学校で習っていた。
一歩後退りした男にヘウ"ンは一歩近付き、一瞬で間合いを詰めて銃を切ろうと思った瞬間、銀色の刃がばきっと音を立てて真っ二つに折れた。
「失敗…」
学校での成績がよみがえる。
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