神人

神書と扉

聖域に戻ってきたヘウ"ンは森を歩いていた。
すぐにナスカさんの所へ行って教師を変えてもらおうと思ったが、ナスカさんは出掛けていていなかった。
でもヘウ"ンが言わなくてもバースが言うであろう。教師を殴るような生徒は面倒見れないってね。
「何なのよ、あいつ…。全然立派な神人じゃないじゃない」
さっきは危ない所を助けてくれたけど、初めからバースが動いていればあんな手間はかからなかった。それにナイフで右手を貫通させるなんてやり過ぎるのよ。
「治したからいいものを…まったく。あ」
いつのまにか扉の場所まで歩いてきてしまった。扉は相変わらず異様な雰囲気を放っている。
「……」
バースと出会った場所。
初めてバースを見た時、これからどんな素晴らしい出来事が起こるんだろうと胸が高鳴った。だが現実はそんな甘く優しいものじゃない。
夢と現実は違うから、ヘウ"ン達神子が勝手に抱いたバースのイメージをバース本人に押し付ける事は出来ない。あの姿がバースの本当の姿なんだ。ヘウ"ンはその姿を見る事が出来た。
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