神人
翌日、ヘウ"ンは教会にやってこなかった。
「寮にも帰ってないんですって」
ナスカの部屋に入ってきてビオラが言った。部屋にはバース、ナスカ、ジュリア、オペラがいた。
ビオラの報告を受けたナスカは、机の上で両手を組み合わせ難しい顔をした。
「寮にも帰ってないなんて…。何か心当たりないの?」
すかさずジュリアが口を開く。
「バースのせいです。バースがヘウ"ンちゃんを泣かしたから」
バースはジュリアに向き、
「私は悪くないだろ!」
「いーや、あんたが悪い。ヘウ"ンちゃんはバースの事で泣いたんだから。すぐに探してきなさい」
「何でそんな面倒臭い事しなきゃならないんだよ!」
「バース」
ナスカがため息を吐く。呆れてるみたいだ。
「ヘウ"ンは貴方の生徒でしょ?教師は生徒の面倒見るものなの」
「勝手にあいつを生徒にしたんだろ。だいたい教師を殴るような生徒知るか」
その時オペラがバースの腕を掴んで見上げてきた。
「何」
と、問いかけたところでこの少女は喋らない。出会ってからまだ一度もオペラの声は聞いた事が無い。
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