神人
「本当ですか!?いいなぁ、乗ってみたいなー」
ヘウ"ンがわざとらしい口調でこちらを見る。だがバースは寝たふりをして聞き流した。
「じゃあヘウ"ンちゃん。私達の新婚旅行はその列車で世界一周しよう」
「何言ってんだよ!てめーは!」
たまらずバースは跳ね起き、ジュリアに怒鳴る。その時知らないオッサンがびっくりして持っていたコーヒーをこぼした。
「バース落ち着いて。他のお客さんに迷惑だから」
ビオラがうんざりしたように止めに入る。
ヘウ"ンは他人の振りをして、ずっとオペラと景色を見ている。
「本当にヘウ"ン楽しそうだね」
知らないオッサンと席を変わり、ビオラが言う。
バースはオッサンのこぼしたコーヒーが服に付いてないか気にしながら、適当に答えた。
「ああ、そうだな」
「嬉しいでしょ。自分の生徒が楽しそうなの」
「別に」
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