神人
何か声をかけようと思ったが止めた。かける言葉もないし、きっとヘウ"ンにとって気休めにしかならない。
「じゃあ、私も行くかな」
「どこ行くの?」
ドアに向かうバースの後ろ姿にヘウ"ンが声をかける。バースは肩越しに振り向き、
「巡回だよ。さっきも言っただろ」
「私はどうすんの?」
「ここにいろ。ビオラがもう帰って来てるだろうから、心配しなくてもいいよ」
「私も街を探索したかったなー」
羨ましそうに言うヘウ"ンを、バースは半目で見た。
「お前なぁ。自分の立場分かってんのか?一応、王女の変わりなんだぞ。王女がフラフラ出歩いてたら、それこそ犯人の思うつぼだろ。じゃあな」
バースが外に出てドアを閉めると、扉の向こうからヘウ"ンが文句を言っているのが聞こえた。
「馬鹿バース」
まあ、元気があれば心配ないだろう。
ムカつく気持ちを無理矢理抑え、バースは安心した。
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