TEAR-DROP*一滴*


羅夢ちゃんの細い首筋を
自分の左腕で
抑え込みもう片方の
腕でナイフを持つ俺は
どっからどー見ても凶悪犯
なのだろう…

羅夢ちゃんも男の俺には
力がかなわないのか
多少動くだけで特に
わめいたりもしない。


そこで羅夢ちゃんの耳元で
「くしゃみするあいだに逃げて」
と短く簡潔に告げ、

すぐに大きくくしゃみをする。

はっくしょーんっっ

動作も大きくし
逃げやすくする。

羅夢ちゃんは理解してくれたのか
すぐに逃げ出した。


そして脱力したように、
ナイフを下に落とす、そして俯く。
我ながらナイス演技。


機動隊がBダッシュで
突撃してくる。

このままのスピードで突っ込まれたら
俺、つぶれるな。

と思い、目を瞑った。
最後に目に入ったのは
無表情の久崎さんの表情からも
わかる、あからさまに喜んでいる
顔だった。

うざ(笑)
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