天使のいいなり~僕と天使と聖なる夜
「えっと、俺は…。」


名前を言おうとした瞬間、永瀬の声に遮られた。



「夏目だろ?夏目遼。五十嵐から嫌ってほど話は聞いてるから。それだからか、なんか初対面って感じがしないんだよなぁ。」


言い終わると、次は「ふーん。」と言い、1人納得しながら俺を見る永瀬。
まるで、観察するみたいに…。



「五十嵐ってメンクイだなぁ。どっちから告ったわけ?やっぱ五十嵐?」

「告ったって…?」



永瀬って…。
会って間もないけど、悪いヤツじゃないってのは分かった。
だけど、時々話が見えなくなる。

だから、質問に答えられない俺。

そんな俺を見て、きょとんとしてる永瀬の顔。
そしてさらりと一言。



「五十嵐と付き合ってんだろ?」

「はぁ!?」


思わず大きな声を出してしまった。
そんな話、初耳なんだけど。


「付き合って…ないけど…。」

「嘘だろ?」

「いや、本当に。」

「そっか。五十嵐の話聞いてたらさ…。でも、時間の問題だろ?」



永瀬の言葉が俺の心を突き刺す。
痛い質問だ。

時間がどれだけ過ぎても、俺の心は動く気配はない。
恋愛なんて…。

今の俺には、無理だよ。


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