天使のいいなり~僕と天使と聖なる夜
「俺はてっきり、里緒ちゃんだと…。」

「………。」



永瀬は無言のまま写真を見つめる。


言わなくても分かる。
永瀬は、写真の中の里緒ちゃんを見つめているんだってことを。



「…俺は、好きだったんだけどな。」

「それって…。」



永瀬の言葉が気になる。
聞こうと思い、話しかけたと同時に、遠くから永瀬を呼ぶ声が聞こえる。

声の主は、手招きをしながら永瀬のことを呼んでいた。


「永瀬ー。授業始まるぞー。」

「今行くー。じゃあな、夏目。今度はゆっくりメシでも食おうぜ。」



そう言うと、永瀬は俺の前から立ち去った。
そして、俺の手には例の写真が持たされたままで…。


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