天使のいいなり~僕と天使と聖なる夜
「今1人?相棒は?」


相棒って…。

もしかして明仁のことか?
コイツ、意外と人のこと見てんのか?

もちろん、悪い意味じゃなくって。



「あっちは今講義。」

「んじゃ、ここ空いてるな。」


俺の返事も聞かず、永瀬は俺の前に腰を下ろす。


天性の素質なのか?
永瀬って、嫌味なく人の心つかむんだよなぁ。




それから俺達は、他愛もない会話をした。

といっても、話題をふってくるのは勿論永瀬で、俺はそれに答える。



「夏目って、高校どこ?」

「城南だけど。」

「へー。俺、部活の練習試合でよく城南行ってたぜ。なんか運動してた?」

「弓道部入ってた。」

「弓道…。袴姿の夏目かぁ。絵になるな、うん。」


和やかなムードが続く。

永瀬と話すのはいいんだけど…。
あの話、どう言えばいいんだろ。


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